2023.11.30
ファンコミュニティとは?メリットや事例、プラットフォームの作り方
少子高齢化などで市場が縮小する中、一人の顧客と長期的に付き合っていくために、ファンマーケティングに注目が集まっています。その中で「ファンコミュニティ」も注目されるようになりました。
今回は、ファンコミュニティのメリットやファンコミュニティプラットフォームの作り方などについて解説します。併せて、ファンコミュニティで成功している事例についても見ていきましょう。
目次
ファンコミュニティとはファンの集まりのこと
ファンコミュニティとは、特定の商品や人物、グループ、企業活動に対しポジティブな関心を持つ人の集まりのことです。そういったファン同士がコミュニケーションできる場そのものについても、ファンコミュニティと呼びます。
ファンの集まりというと「ファンクラブ」を思い浮かべますが、ファンクラブは主催側からファンへの一方的な情報発信がメインです。商品やサービスを提供する企業とファン、またはファン同士など、双方向の交流を行うのがファンコミュニティであり、ファンクラブとの違いでしょう。
ファンコミュニティは自然発生的にできる場合もありますが、最近ではマーケティングに利用するため、企業が運営することも増えています。
主にオンライン上で運営されており、ファン同士が交流する掲示板があったり、商品のレビューや口コミが投稿できたりするほか、商品が試せるなどファンへの特典が用意されていることもあります。
SNSとファンコミュニティの違い
SNSは多くの消費者が利用している規模の大きなメディアであり、情報の拡散を得意としています。そのため、ブランドや商品、サービスなどを知らない新規顧客と接触する場として役立つでしょう。ただし、情報発信は一方的になりがちで、継続的に消費者と交流して関係構築していくのは難しいです。
ファンコミュニティはブランドや商品、サービスなどに関心を持った層が集まっており、双方向のコミュニケーションを通して、信頼関係を育てることができます。コミュニティ内での活動を通し、ライトなユーザーがファンになるきっかけや、経過を分析することもできるかもしれません。
マーケティングに利用するためには、どちらが正しいというものではなく、目的に応じてSNSとファンコミュニティを使い分けることが大切です。
ファンコミュニティを作るメリット
企業がファンコミュニティを作ると、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、ファンコミュニティから得られる4つのメリットをご紹介します。
LTV向上による売上拡大
ファンコミュニティでのファンとの交流や、ファン同士の交流によってユーザーの愛着が強くなり、LTVの向上につながります。
LTVは「顧客生涯価値」を意味し、取引開始から終了までに一人の顧客が企業にもたらす利益のことです。LTVが高いということは、商品やサービスを継続利用してくれているということを指します。新規顧客の獲得は重要ですが、すでにユーザーとなっている顧客を手放さないことでLTVが向上し、結果的に売上の拡大が期待できるでしょう。
消費者の隠れた心理の発見
ファンコミュニティでは、掲示板やチャットなどでユーザーの意見や興味関心、感度がリアルタイムで見られます。共通の関心を持つファン同士だからこその本音を知ることができ、従来のアンケートやインタビューでは得られない消費者の潜在的なニーズを発見できるでしょう。
ファンコミュニティで把握できたユーザーニーズや改善点、これまでわからなかった消費者の心理などは、商品開発や改良に活かすことができます。
ライトユーザーのファン化
ファンコミュニティでファン同士の交流を促すことで、商品・サービスについての愛着が強くなる効果が見込めます。ライトなユーザーをコアなファンに育てることができ、ファンの口コミがきっかけで新たなファンが増えることもあるでしょう。
現在は価値観の多様化やSNSの普及などにより、企業からの一方的な発信よりも、一般的なユーザーの口コミの訴求力が増しました。また、ファンコミュニティでは良質な口コミが生まれやすく、それを見たユーザーがファン化する効果も期待できます。
費用対効果の改善
LTVの向上やユーザーインサイトの発見、口コミの増加などのためには、コストをかけて計画的に施策を実施する必要があります。
ファンコミュニティですべてが叶えられれば、そのために振り分けていた予算を縮小し、ファンコミュニティの運営に統合できるでしょう。これにより、費用対効果の改善が見込めます。
ファンコミュニティの作り方
ファンコミュニティにはさまざまなメリットがありますが、実際に企業がファンコミュニティを運営する場合、どのように作ればいいのでしょうか。ファンコミュニティを作る流れをご紹介します。
1. ファンコミュニティの目的を明確にする
企業がファンコミュニティを作るときは、何を目的にするかを明確にしておくことが重要です。ユーザーニーズや改善点を把握したいのか、顧客満足度を向上させたいのか、ファン同士の交流を図りたいのか、目的によってファンコミュニティでどのような活動をすべきかが見えてきます。
2. 理想的なファン像を明確にする
ファンコミュニティの目的を考えたら、すでにファンとなってくれている人を分析し、理想的なファン像を考える必要があります。どのような人に参加してもらいたいのかを明確にすることで、どうアプローチすべきか、どのようなコンテンツを用意すべきかが見えてくるでしょう。
3. プラットフォームを選ぶ
次に、ファンコミュニティのプラットフォームを選びます。コミュニティの活動を行う場は、Webサイトやブログ、オンラインフォーラム、アプリなど、さまざまな種類があります。
ファンコミュニティ専用のWebサービスなどもありますが、ファンコミュニティの目的や参加する人からどのような機能が必要か考えて、それを満たせるものを選びましょう。
4. コンテンツを作成する
ファンコミュニティのプラットフォームを選んだら、参加するファンが喜びそうなコンテンツを考えます。掲示板やチャットだけでなく、動画の配信や漫画の掲載など、ファンの交流のきっかけとなるようなコンテンツを考えてください。ファンがみずからコンテンツを作成できるような仕組みも、ファンコミュニティの活性化につながります。
5. 参加者の募集
ファンコミュニティができたら、参加者を募集します。ファンコミュニティを利用するメリットを明確に伝え、独自の価値や特典なども用意しましょう。簡単に手続きができるよう、登録方法や画面などに工夫することも重要です。
「PLAY VIDEO STORES」は、ファンコミュニティとしての動画配信サイトが簡単に構築できるプラットフォームです。ライブ配信やチャットコミュニケーションの機能があるため、オンラインでのファンミーティングも開催できます。また、ファンミーティングの様子を撮影しておけば、オンライン・オフラインの開催を問わずにアーカイブ配信も可能。コミュニティの中で繰り返し見てもらうこともでき、新しいユーザーにファンミーティングの様子を伝えたり、次回の参加意欲を醸成したりすることにもつながるでしょう。
ファンミーティング以外でも、関連した動画の配信や販売も可能なため、ファンコミュニティのコンテンツ拡充に役立てられます。
動画配信・構築プラットフォーム「PLAY VIDEO STORES」
ファンコミュニティの事例
多くの企業が独自のファンコミュニティを運営し、成功しています。ここでは、企業のファンコミュニティの事例をご紹介しましょう。
カゴメ:&KAGOME
食品メーカーのカゴメは、売上の多くを占めるコアな顧客を大切にしていきたいとの思いからファンコミュニティ「&KAGOME」を立ち上げました。レシピやレビューの投稿のほか、主力商品であるトマトジュースで使用しているトマトの栽培コミュニティなどもあり、カゴメらしいコンテンツでファンとの交流を図っています。
無印良品:IDEA PARK
「IDEA PARK」は、家具や衣服、食品、生活雑貨など、幅広い商品の開発や販売を行う無印良品のファンコミュニティです。改善してほしい商品や、作ってほしい商品についてユーザーが意見を投稿し、ほかのユーザーはコメントやリアクションができます。集められた意見はすべて社内で確認し、実際にそれをもとにした商品の改善や開発が行われています。
mineo:マイネ王
格安スマホ・SIMサービスを展開するmineoの「マイネ王」は、mineoユーザーの2人に1人が加入しているというファンコミュニティです。使わなかったパケットをシェアする、わからないことを質問・回答するなど、ユーザーが助け合う仕組みがあり、高い顧客満足度を獲得しています。結果的に紹介加入率が向上し、売上の拡大につながりました。
日本航空:JALの旅コミュニティtrico
「JALの旅コミュニティtrico」は、日本航空(JAL)のファンコミュニティで、ユーザーは旅の体験を写真やコメントでシェアし合って交流しています。ファンコミュニティのテーマをJALではなく幅広く「旅」としたことで、幅広いファン層を集めました。ユーザーと共創でフライト企画やグッズ制作なども行っており、顧客満足度の向上につながっています。
ファンコミュニティ運営のポイント
ファンコミュニティは2010年代にも注目されましたが、運用の難しさで閉鎖するケースも多数ありました。ファンコミュニティ運営を成功させるために、押さえておきたいポイントをご紹介します。
ファンに直接売らない
ファンコミュニティの成功は売上の拡大につながるものですが、それを急ぐあまりに、ファンコミュニティを営業の場とするのは避けてください。
収益化を重視した施策を行うと、ファンは「裏切られた」と感じ、離れてしまうかもしれません。ファンに売るのではなく、ファンを通じて売ることを意識するのが重要です。
ファンの意見を大切に
ファンコミュニティでファンが喜ぶことを調査し、商品やサービス、コンテンツなどに反映させましょう。ファンミーティングやソーシャルリスニングでファンの声を聞き、ファンは何を価値だと思うのか、何で喜ぶかを常に探ることが重要です。
介入しすぎない
運営側がコンテンツを提供したり、場が荒れないか監視したりといった介入を行うことは重要です。ただし、あまりに運営側がコミュニティを主導すると、一方的な情報発信になり、ファン同士の交流は阻害されるかもしれません。ファンコミュニティがある程度自走できるよう、手助け程度にとどめましょう。
ファンコミュニティで顧客との関係を深めよう
企業がファンコミュニティを運営することで、ユーザーのリアルな声を商品開発や改良に利用できたり、LTVを向上させたりといったことができるようになります。企業側ではわからなかった、自社の良さや魅力に気づけることもあるでしょう。ファンは何を喜ぶのかを考え、ファンがいっそう愛着を持てるようなコミュニティを作ってください。
自社配信サービス構築プラットフォーム「PLAY VIDEO STORES」は、自社ブランドの動画配信サイトを手軽に構築することができるプラットフォームです。
利用実績も豊富なため、ファンコミュニティでの動画配信サイト作成を検討する際には、ぜひご相談ください。
この記事の監修者: 動画総合研究所 編集部
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