2023.12.19
ビットレートとは?動画制作や配信で覚えておきたい基礎知識
動画の制作や配信を行うにあたって重要なことに、「ビットレート」の設定があります。ビットレートは動画の画質に影響するもののため、適切に設定しなければなりません。しかし、動画の編集に詳しくなければ、「ビットレートとは?」「何が適切なの?」と疑問を持つ人も多いでしょう。
今回は、ビットレートの意味や種類といった基礎知識、解像度・フレームレートとの関係、正しく設定する方法などについてご紹介します。
目次
動画のビットレートとは?
ビットレートとは、動画1秒あたりに使用できるデータ量のことです。「bps(Bit Per Second)」で表され、「エンコードされた動画や音声の1秒間に使用できるデータ量」「1秒あたりのプログラムで処理できるデータ量」「通信回線で1秒間に処理できるデータ量」など複数の意味があります。
ビットレートの数値が大きくなるほど、たくさんのデータを使用できるため、高画質・高音質の動画になります。しかし、その分ファイルサイズが大きくなるため、データとして扱いにくくなる可能性があるでしょう。
ビットレートには複数の種類があり、大きくは3種類に分けられます。
音声ビットレート
音声ビットレートは、動画ファイル内の1秒間あたりの音声データ量を表すものです。平均的なデータ量は96〜128kbps、高音質なら192〜320kbps程度でしょう。映像ビットレートと比べて数が小さいので、高音質にしても全体のファイルサイズにはあまり影響が出ません。
映像ビットレート
映像ビットレートは、動画ファイル内で1秒間あたりの映像のデータ量を表すもので、数値が高いほど高画質になります。解像度や動画内の動き、演出などによって、500k〜70Mbpsと適切な数値は大きく変わります。
オーバルビットレート
オーバルビットレートとは、音声と映像のビットレートを合計した数値のことです。総ビットレートとも呼ばれ、動画のビットレートといえば、オーバルビットレートのことを指していると考えていいでしょう。
動画のビットレートと解像度・フレームレートの関係
動画のビットレートは、「解像度」と「フレームレート」に影響されます。正しくビットレートを設定するために、解像度とフレームレートについて知っておきましょう。
解像度:動画の画素の数
解像度は動画の画素数(ピクセル数)のことです。動画は画素をたくさん表示することで映像を表すため、画素数が高ければ解像度は高く、より鮮明な映像になります。解像度は横と縦の画素数で表され、例えば1,920×1,080の場合、横の画素数は1,920、縦の画素数は1,080であり、全体の画素数は2,070万3,600ということです。解像度が高ければ、その分必要なビットレートは大きくなります。
フレームレート:動画の静止画の数
フレームレートは、動画の中で1秒に何枚の静止画を表示するかを表す値です。fps(frame per second)で表され、例えば60fpsなら、1秒間に60枚の静止画が表示されるということです。
動画はパラパラ漫画のように静止画を連続で表すことで映像が動いているように見せるため、フレームレートの値が高ければ、映像の動きがより滑らかになるでしょう。やはりフレームレートの数値が大きければ、必要となる動画のビットレートも大きくなります。
フレームレートの注意点としては、撮影したときのfpsを、編集で変更しても、撮影時のfps以上にはならない点です。30fpsで撮影した映像は、編集で60fpsにしても30fpsでしか再生できません。そのため、フレームレートの値は、動画の撮影前に決めておく必要があります。
動画のビットレートは高いほうがいい?
ビットレートの値が高ければ、高画質の動画になるというメリットがあります。しかし、ビットレートの値が高ければ、ファイルサイズが大きくなる以外にもデメリットがあり、注意が必要です。ここでは動画のビットレートを高くするメリット・デメリットをご紹介します。
動画のビットレートが高いメリット
動画のビットレートが高いと、高画質・高音質の動画が作成できるというメリットがあります。高画質で撮影した映像でも品質を損なわず、大画面で再生しても画像が粗くなりません。特に、動きの激しいスポーツやゲームなどの場合、ビットレートを高く設定することで、滑らかで本来のスピード感を失わない動画にできるでしょう。
動画のビットレートが高いデメリット
動画のビットレートを高く設定することで、データ量が大きくなり、保存するサーバのストレージを圧迫するデメリットがあります。デバイスやインターネット環境によっては、再生やダウンロードに時間がかかったり、動画編集ソフトの動作が重くなったりすることにも注意が必要です。
動画のビットレートは高ければいいというものではなく、適切な数値にすることが重要です。ビットレートを高くしたくないけれど、「鮮明な動画にしたい」という場合は解像度を高く保つ、「動きの滑らかさを優先したい」という場合はフレームレートを高く設定するなど、優先順位を決めましょう。
ビットレートの目安はある?
動画のビットレートは適切な数値に設定しなければならないといっても、何が適正なのかわからないという人もいるでしょう。適正なビットレートは、動画の内容によって変わりますが、動画配信サービスによっても違います。オンラインで動画を配信する場合は、ビットレートが高すぎるとスムーズに視聴できないことがあり、注意が必要です。
また、映像や音声の品質は元のデータに依存するため、元の動画より高いビットレートにしても元のデータ以上の品質にはなりません。同じビットレートで配信しても、元のデータの品質次第では画質や音質に差が出る点にも注意が必要です。
ビットレートは元となるデータの表現形式によって異なります。今回は従来のテレビや映画などで使用されてきた標準的な表現形式のSDRと、音声配信のビットレートについて、目安としてYouTubeが推奨する動画のビットレートをご紹介します。
SDR動画で推奨される映像ビットレート
■SDR動画をアップロードする際のビットレート
タイプ | 映像ビットレート、標準フレームレート (24、25、30) | 映像ビットレート、高フレームレート (48、50、60) |
---|---|---|
8K | 80~160Mbps | 120~240Mbps |
2160p(4K) | 35~45Mbps | 53~68Mbps |
1440p(2K) | 16Mbps | 24Mbps |
1080p | 8Mbps | 12Mbps |
720p | 5Mbps | 7.5Mbps |
480p | 2.5Mbps | 4Mbps |
360p | 1Mbps | 1.5Mbps |
推奨される音声ビットレート
前述のように音声ビットレートは数が小さいので、そこまで動画のビットレートに影響しません。YouTubeが推奨する音声ビットレートは次のとおりです。
■動画をアップロード際の推奨音声ビットレート
タイプ | 音声ビットレート |
---|---|
モノラル | 128kbps |
ステレオ | 384kbps |
5.1 | 512kbps |
動画のビットレートを正しく設定するには?
動画のビットレートは画質に影響する重要なものですが、これまでご紹介したように高ければいいというものではありません。ここでは、動画のビットレートを適切に設定するためのポイントをご紹介します。
フレームレートの見直し
フレームレートを高く設定すると動画の動きが滑らかになりますが、ファイルサイズが大きくなり、視聴者の負担になることがあります。適切なフレームレートは動画の動きの多さで判断しましょう。
通常のテレビなどでは30fps、4Kテレビなどは60fps程度に設定されています。スポーツやゲームなど激しい動きのある動画なら60~120fps以上、セミナーや講演会などの動きの少ない動画なら30fps以下でも問題ありません。
適切な解像度の設定
高解像度の動画であれば、ビットレートも高く設定しなければなりませんが、視聴者のデバイスを想定することも重要です。2Kや4Kなどのデバイスで視聴する人はまだ多くなく、フルハイビジョン以下で視聴する人が大半ではないでしょうか。そういった視聴者にあまりに高画質な動画を配信すると、通信料ばかりかかってストレスになるかもしれません。
セミナーや講演会ならPCのモニターで視聴されることが多いため、フルハイビジョン以下など、動画の内容と視聴者のデバイスを想定して適切な解像度を考えてみてください。
動画の内容に合わせてビットレートを正しく設定しよう
ビットレートを正しく設定しないと、思ったような画質で動画を配信できないばかりか、視聴者にストレスを与えてしまう可能性があります。適切なビットレートは動画や配信サービスでも変わるため、制作の前に内容を踏まえてビットレートを考える必要があるでしょう。
動画配信サービス「ULIZA(ウリザ)」は、日本国内で開発されて10年以上の利用実績があります。アップロードした動画のビットレートや解像度の変更方法も可能で、サポート会社窓口も用意しているため、初めて利用する方もご安心いただけます。ぜひお問い合わせください。
この記事の監修者: 動画総合研究所 編集部
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