2024.02.01

動画制作・配信を行う際に知っておくべき著作権について解説

動画制作・配信を行う際に知っておくべき著作権について解説

動画配信を行うにあたり、著作権や肖像権に関する知識は必要不可欠です。正しく理解しないまま配信を行うと、著作権や肖像権を侵害してしまうおそれがあります。権利を侵害してしまった場合、対象の動画の差し止めや、損害賠償請求を受けるかもしれません。
ここでは、著作権と肖像権の基礎知識のほか、権利を侵害することなく動画制作・配信するポイントなどをご紹介します。

著作権の基礎知識

著作権とは、自分が創作した著作物を無断でコピーされたりインターネットで利用されたりしない権利のことです。著作権は、小説、音楽、絵画などの著作物を創作したときに、自動的に効力が生まれます。特許や商標と異なり、登録手続きなどは不要です。著作物を創作した人(著作者)に与えられる権利で、著作権法によって保護されています。
ここからは、著作権の基本として押さえておきたい内容について詳しく見てみましょう。

著作物

著作権法では、著作物を「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」と定めています。したがって、作品の著作者の個性が表れていれば、「創作的に表現した」ものとなり、著作物です。具体的には、小説や楽曲、絵画、写真、映像、マンガ、アニメ、ゲームなどが挙げられます。
なお、著作物とならないものとしては、単なる事実やデータや頭の中のアイディアなどが該当します。他人の著作物をまねたものも、まねた当人の個性が表れていないので、著作物にはなりません。

著作者

著作者は、著作物を創作した個人、会社などの法人や団体を指します。著作者の権利には、著作者人格権と、著作権(財産権)の2つがあります。

著作者人格権は、著作者が作品に対して持つ人格的な利益を保護する権利です。著作物をいつどのように公表するか、公表の際に著作者名をどう表示するかなどを決めることができます。著作者だけが持つ権利で、著作者が死亡すると原則として、著作者人格権も消滅します。

著作権(財産権)は、著作者の財産的な利益を保護することが目的で、著作物の録画や上映、放送、二次利用などができる権利のことです。著作権(財産権)は譲渡・相続が可能です。例えば、動画制作を外部に発注した場合、制作会社やクリエイターと契約を交わすことで、著作権(財産権)を譲り受けることができます。

著作隣接権

著作隣接権とは、著作物を広めるために重要な役割を果たしている者に与えられる権利で、日本では実演家、レコード製作者、放送事業者、有線放送事業者が認められています。

例えば「放送」の場合、音楽番組であれば誰かの著作物の音楽を放送しますが、音楽の創作は行いません。しかし、番組制作の過程で、選曲や人選、演出方法などにおいて、創作に準ずる工夫が認められます。こうした場合に著作隣接権が付与されます。

著作権を侵害したらどうなる?

著作権法を侵害した場合、民事上の請求と刑事上の罰則の両面により裁かれることがあります。それぞれ詳しく見てみましょう。

民事上の請求

著作権を侵害した場合、著作者から侵害行為に対する差し止め請求や損害賠償請求などを受けます。差し止め請求に際して、侵害についての故意や過失は問われません。著作権を侵害する海賊版などを製造、販売した場合は損害賠償の請求が行われ、同時に不当利得の返還請求が行われる場合もあります。
著作者の著作者人格権を侵害した場合も、名誉回復などの措置請求を受ける場合があるので注意が必要です。謝罪広告の掲載請求などがこれに該当します。

刑事上の罰則

著作権を侵害すると、著作者から犯罪として告訴されることもあります。訴えが認められて有罪となった場合、著作権、出版権、著作隣接権の侵害は10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金となります。著作者人格権の侵害などは5年以下の懲役または500万円以下の罰金です。
また、法人による侵害の場合(著作者人格権侵害、実演家人格権侵害を除く)は3億円以下の罰金が定められています。特に法人は量刑も厳しく、社会信用の失墜も招くことを覚えておきましょう。

動画制作の際に確認したい著作権

動画制作の際は、動画そのものの著作権だけではなく、動画内で使用する素材の著作権についても確認が必要になります。それぞれの注意すべき内容をご紹介します。

動画の著作権

動画制作の際は、動画の著作権が誰にあるのかを確認しましょう。動画制作においては、著作者が著作物の複製・翻訳・放送・上演などを独占します。個人が一人で制作した動画であれば、制作者に権利が適用されますが、法人の場合は注意が必要です。

企業で動画制作を行う場合、企画、撮影、編集のすべてを社内で行っていれば、自社が著作権を保有し、法人名義にすることが可能になります。しかし、動画制作を外部の制作会社に発注した場合、著作権は制作会社にあります。著作権を自社に移したい場合は、別途著作権譲渡契約を結ばなければなりません。ただし、著作権が譲渡されても、著作者人格権は譲渡できないことは覚えておきましょう。

動画内の素材の著作権

動画制作の際は、動画内の素材の著作権についても考える必要があります。動画はさまざまな要素によって成り立っています。音声や音楽、アニメーションや画像などの素材を使用して、効率良くクオリティの高いコンテンツを作ることも多いでしょう。このときに使用する素材が、著作権で保護されている可能性もあるため注意が必要です。

素材を利用する場合、素材提供サービスを使用することが一般的ですが、中には商用利用を禁止していたり、商用利用の際は利用料が必要になったりするサービスもあります。素材提供サービスを利用する際は、利用規約を必ず確認してください。

著作権フリーとロイヤリティフリーの違い

動画に使う素材を探す際によく見かける言葉が、著作権フリーとロイヤリティフリーです。混同されやすい両者ですが、著作権の有無が異なります。それぞれの意味について詳しく見てみましょう。

著作権フリー

著作権フリーとは、一般的に著作者が著作権を放棄している、または保護期間が切れて消滅している状態を指します。ただし、著作権フリーとしている素材でも、「利用する際には出典を記載すること」といった条件を設けるなど、すべての著作権を放棄していないケースもあるため、必ず利用規約を確認しておきましょう。

ロイヤリティフリー

ロイヤリティフリーとは、写真やイラスト、動画、文章などの素材を購入したら、利用規約に定められた範囲内であれば何度でも自由に使用できることを指します。本来なら使用するたびに発生する使用料が無料になるということで、著作権そのものを放棄しているわけではありません。

著作権フリーが著作権を放棄または著作権が消滅しているのに対して、ロイヤリティフリーの素材は著作権を放棄しないまま素材の使用を許諾しているという違いがあります。

動画配信を行う際に覚えておきたい肖像権とは

動画配信を行う際は著作権だけではなく肖像権についても正しく知っておく必要があります。肖像権は、人格的な利益を保護するプライバシー権(人格権)と、財産的な利益を保護するパブリシティ権(財産権)の2つの面があります。それぞれ詳しく見てみましょう。

プライバシー権(人格権)

プライバシー権(人格権)とは私生活上の情報を無断で公表されない権利のことで、肖像権もそのひとつです。具体的には、顔や姿などを無断で他人から撮影されたり、撮られた写真や動画を公表されたりしない権利を指し、誰にでも認められます。
動画配信においては、人通りが多い場所での撮影で、許諾を得ていない個人が明確に特定できるような映像が含まれている場合に、プライバシー権の侵害になる可能性があります。

パブリシティ権(財産権)

肖像権にはプライバシー権だけでなく、財産としての価値を保護するパブリシティ権(財産権)の側面もあります。パブリシティ権は、タレントやモデルなど、顧客を商品などに引き付ける力を持つ個人が、自身の経済的価値・利益を守るための権利です。
タレントやモデルの画像や映像を無断で販売・宣伝目的で利用した動画配信を行うと、パブリシティ権の侵害になる可能性が高いでしょう。

著作権と肖像権の違い

著作権と肖像権は、権利者の利益や人格を守るという点では共通していますが、権利が発生する対象が異なります。著作権は著作物を対象に発生する権利ですが、肖像権は個人に対して発生する権利です。
また、著作権と肖像権は、法律で定められているかどうかという違いもあります。
著作権は著作権法で定められていますが、肖像権は法律上、明文化された権利ではありません。肖像権を侵害した場合は犯罪にはなりませんが、憲法第13条の幸福追求権を根拠として損害賠償請求をされることがあります。

権利や肖像権を侵害せずに動画制作を行うポイント

著作権や肖像権を侵害せずに動画制作を行うには、どのようなことに注意すればいいのでしょうか。3つの動画制作のポイントについて解説します。

著作権・肖像権にあたるものへの理解

権利を侵害せずに動画制作を行うには、まず著作権・肖像権にあたるものを正しく理解することが大切です。インターネットの発達とスマートフォンやタブレットといった携帯デバイスの普及により、近年は個人でも動画制作や配信が簡単にできるようになりました。誰でも気軽に制作できるようになったため、気づかないうちに著作権を侵害してしまうおそれもあります。動画制作・配信を行う際は、動画そのものの著作権だけではなく、使用する画像や動画、BGMなどの素材について著作権で保護されているかどうかの確認が必要です。

また、個人が特定できるような撮影を行っていないか注意しましょう。肖像権の中でもプライバシー権は誰もが持つ権利です。家族や自社の社員であっても、同意なく勝手に撮影した場合は、肖像権の侵害にあたります。企業が社員の画像や映像を撮影する場合はあらかじめ許諾を得る必要がありますが、その際に退職後も一定期間利用することに同意を得ておくと、撮り直しのリスクを抑えることができます。

周囲の映り込みを確認

撮影時、周囲の映り込みに注意することも、権利を侵害せずに動画制作を行うポイントのひとつです。個人が特定できる顔や姿が映っていたら肖像権の侵害となる可能性があります。

注意すべきは人物だけではありません。企業のロゴ、建物、車のナンバープレートについても確認が必要です。企業のロゴは著作権が認められるものもあるため、映り込まないように配慮しましょう。建物については、一般住宅のような建造物は著作権が問題となることはほぼありません。しかし、ランドマークとなるような建築物の場合、著作権のほかに商標登録されている可能性があるため、事前に利用規約の確認が必要です。
また、車のナンバープレートそのものは映り込んでも法律上の問題はありませんが、運転者が映り込んでいたり、車の周りの景色から場所が特定される可能性があったりする場合は、トラブルに発展しかねません。そのため、車のナンバープレートが映り込んだ場合は、モザイクなどの処理をしてトラブルを回避することをおすすめします。

タレント・モデルの起用時は肖像権に注意

タレントやモデルを起用して動画制作する場合は、プライバシー権とパブリシティ権の2つの肖像権の確認が必要となる可能性があるため、動画制作を行う際に注意が必要です。タレントやモデルの肖像権は所属事務所が管理しているケースが多く、所属事務所に対して使用許諾交渉や契約書の締結が必要になることも少なくありません。

なお、動画にタレント・モデルを起用した場合は、使用可能期間が1~2年程度に限定されるケースが多くあります。中長期的に使用する目的で動画制作をする場合は、肖像権の確認と併せて、使用可能期間も確認しておくことをおすすめします。

動画配信は、著作権被害を防ぐ機能を備えた「ULIZA(ウリザ)」がおすすめ

動画制作は、著作権・肖像権の問題が生じるリスクがあるため、権利について正しく理解し、扱いには細心の注意が必要です。特に企業が著作権を侵害したと認められた場合、罰金が高額になるだけではなく、社会的なブランド毀損にもつながりかねません。

また、動画配信を行う際は、違法ダウンロード・アップロードなど動画そのものの著作権被害を防ぐことも重要です。企業がビジネスとして動画配信を行う場合は、著作権に関するトラブルを回避するために、DRMなどセキュリティ機能を備えた有料のライブ配信サービスを利用するのがおすすめです。

動画配信サービス「ULIZA(ウリザ)」は、日本国内で開発されて10年以上の利用実績がある動画配信プラットフォームです。動画を違法ダウンロードから守るDRM技術、HTTP Live Streaming(HLS)といったコンテンツ保護機能を完備しているだけでなく、規模感やニーズに合わせたプランニングが可能で、自社のブランドイメージや配信サイトのテーマに合わせた、柔軟なカスタマイズにも対応しています。さらに、動画配信技術に精通するエンジニアのサポートもあるため、動画制作に慣れていない方でも安心してご利用いただけます。ぜひ「ULIZA(ウリザ)」の導入をご検討ください。

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この記事の監修者: 動画総合研究所 編集部

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