2026.10.09

動画配信で遅延が起こる原因とは?タイムラグの仕組みと対策を解説

動画配信で遅延が起こる原因とは?タイムラグの仕組みと対策を解説

ライブ配信では、撮影した映像や音声が視聴者の画面へ届くまでに時間差が生じます。

数秒程度の遅れであれば大きな問題にならない場合もありますが、ウェビナーの質疑応答やオンライン授業では、会話のタイミングが合わなくなる原因になりえます。

また、スポーツ中継やライブコマース、オンライン投票、遠隔支援など、その場での反応が重要な配信では、短い時間差でも視聴体験や進行へ影響するでしょう。

動画配信の遅延は、一つの原因だけで発生するわけではありません。

撮影した映像の変換、インターネット経由での送信、配信サーバーでの処理、視聴端末での受信や再生など、複数の処理にかかる時間が積み重なって生じます。

遅れを小さくしたい場合は、配信方式だけを変更するのではなく、映像設定、回線、エンコード、視聴環境まで含めて確認する必要があります。

本記事では、動画配信で遅延が起こる原因や仕組みを整理したうえで、用途に応じた配信方式の選び方、タイムラグを抑えるための対策を解説します。

動画配信に遅延が発生する原因

タブレットにビルと夕焼けの動画

動画配信では、映像の変換、送信、サーバーでの処理、視聴端末での受信・再生にかかる時間が積み重なり、遅延が発生します。

遅れの大きさは、配信方式だけでなく、回線や機器の性能、視聴者の通信環境によっても変わります。

遅延を抑えるには、どの工程に時間がかかっているのかを確認することが大切です。

エンコードとトランスコードに時間がかかる

ライブ配信では、カメラやマイクから取り込んだ映像・音声を、配信用のデータへ変換するエンコードを行います。

また、視聴者の通信環境に合わせて複数画質を用意する場合は、異なる解像度やビットレートの映像を生成するトランスコードも行われます。

変換にかかる時間は、解像度やビットレート、コーデック、機器やサーバーの処理性能によっても変わります。

設定に対して処理性能が不足していると、映像の遅れや乱れにつながる場合があります。

リアルタイム性を重視する配信では、必要な画質を保ちながら、映像設定と機器性能のバランスを確認しましょう。

また、本番前に使用する機材でテストし、映像の乱れや処理落ちがないか確認することも大切です。

動画エンコードとは?仕組み・種類・設定のコツまで初心者向けに徹底解説

ネットワークや配信サーバーへの負担

ライブ配信では、配信側の上り回線と視聴者側の下り回線の双方が遅延に関係します。

配信側の上り速度が不足すると映像をサーバーへ安定して送信できず、視聴者側の通信速度が低い場合も再生までに時間がかかります。

同じネットワークへ利用者が集中する会場では、通信速度が低下する場合もあるでしょう。

また、多数の視聴者へ配信する場合は、配信サーバー側の処理能力も重要です。

CDNを使えば複数のサーバーへアクセスを分散し、特定の経路へ負荷が集中する状態を抑えられます。

想定する視聴者数に対応できる配信基盤を選び、配信側の回線にも余裕を持たせましょう。

プレイヤーが一定量のデータを先読みしている

ライブ配信では、通信速度が一時的に低下しても映像が止まりにくいよう、プレイヤーが一定量のデータを先に受信して再生する場合があります。

先読みしたデータを保存する領域がバッファです。

データを蓄えておくと再生は安定しやすくなりますが、その時間がライブ映像との時間差につながります。

反対に、バッファを小さくすると遅延を縮めやすい一方、通信状況によっては映像が止まりやすくなります。

たとえば講演会と質疑応答では求める条件が異なるため、安定性とリアルタイム性の優先順位に合わせて配信方式や設定を決めましょう。

動画配信の遅延によるデメリット

パソコンを見ながら話す男性

ライブ配信の遅延は、質疑応答やオンライン授業など、視聴者とのやり取りがある場面で進行へ影響します。

一方向の講演では問題にならない時間差でも、遠隔支援や実技指導では支障が出る場合があります。

配信目的に応じて、どの程度の時間差まで許容できるのかを考えましょう。

チャットや質疑応答がかみ合わない

ライブ配信に遅延があると、登壇者の発言と視聴者の反応に時間差が生じます。

ウェビナーで「質問がある方はチャットへ入力してください」と案内しても、遅延が大きいと、視聴者がその場面を見る時点では登壇者側ではすでに次の話題へ移っている可能性があります。

質問への回答も同様です。

登壇者が回答を終えた後に、視聴者側では質問内容の読み上げが始まる状態になると、やり取りの流れが逆転してしまい、混乱を招く恐れがあります。

発言が重なる、質問への反応が遅れて見えるといった状態になると、参加者が進行を追いにくいです。

また、投票やアンケートをライブ中に実施する場合も、映像の時間差を考えずに受付を終了すると、まだ質問画面を見ていない視聴者が回答できないケースがあります。

ライブコマースでは、商品の説明とチャット上の質問に時間差があることで、出演者がどの商品について答えているのか分かりにくくなることもあるでしょう。

リアルタイムでの交流を重視する場合は、配信の遅延を抑えるだけでなく、質問受付時間を長めに取るなど進行面でも対策する必要があります。

実況・遠隔操作・実技指導に支障が出る

スポーツ中継、オークション、オンライン授業、実技指導、遠隔支援などでは、映像を見た直後の判断が重要になる場面があります。

スポーツ中継で映像の遅れが大きいと、別の速報サービスや周囲の歓声などから結果を先に知り、映像を見る楽しさが損なわれるケースがあります。

実況音声と映像を別経路で届ける場合は、双方の時間差が合っていないと、プレーより先に実況内容が聞こえることもあるでしょう。

オークションでは、画面に表示された状況が実際より遅れていると、入札判断に影響する可能性があります。

遅延が大きいと、実況と映像の動きがずれるほか、オークションでは入札のタイミングを逃す原因にもなるでしょう。

オンライン授業では、講師の問いかけや説明が遅れて届くと、受講者の返答との間にずれが生じ、質疑応答や双方向のやり取りが進めにくいです。

実技指導では、講師が受講者の動きを見て声をかけても、映像が数秒遅れて届いていれば、受講者はすでに別の動作へ移っている場合があります。

遠隔支援でも、現場の映像が遅れて届くと、必要なタイミングで指示を出しにくくなります。

機械の操作や設備点検など、安全性に関わる遠隔支援では、映像の時間差を十分に確認したうえで利用方法を決めることが重要です。

即時の判断や反応を伴う用途ほど、一般的なライブ配信より短い遅延が求められます。

用途に応じた配信方式の選び方

パソコンを片手に持つ男性

ライブ配信の遅延は、利用する配信方式や通信プロトコルによって影響度が異なります。

短い時間差を重視する方式と、多数の視聴者へ安定して映像を届けやすい方式では特徴が異なるため、配信規模や双方向性を踏まえて選ぶことが大切です。

ストリーミング配信における安定性

HLSなどの一般的なHTTPストリーミングでは、映像を一定の単位に分けて配信し、プレイヤー側でも一定量のデータを確保しながら再生します。

通信環境に応じて異なるビットレートの映像を切り替える仕組みを組み合わせれば、回線速度が変化したときもスムーズに再生できるでしょう。

たとえば、高画質の映像を受信するには通信速度が足りないと判断された場合は、よりデータ量の少ない映像へ切り替えられます。

多数の視聴者へ動画を届ける場合にも、HTTPを使った配信は既存のWeb配信環境やCDNと組み合わせやすいです。

一方、映像の分割、サーバーへの送信、プレイヤー側の先読みなどに時間が必要になるため、実際の撮影時刻と視聴画面の間には時間差が生じます。

講演会や大規模イベントなど、短い時間差より映像の途切れにくさや多数への配信を重視する用途では、一般的なストリーミング方式が適しているでしょう。

近年はHTTPベースでも時間差を短縮する方式がありますが、利用できる環境や必要な設定は配信基盤によって異なります。

配信規模と必要なリアルタイム性を整理したうえで方式を選ぶことが大切です。

低遅延配信が適している場面

低遅延配信は、視聴者の反応を短い時間で受け取り、進行へ反映したい場面に向いています。

ウェビナーの質疑応答、ライブコマース、スポーツ実況、オンライン投票などが代表例です。

時間差が短ければ、質問への回答や投票結果を配信へ反映しやすくなり、視聴者とのやり取りもスムーズに進められます。

スポーツ中継でも、実際の試合と視聴映像の差を縮めることで、速報などから結果を先に知るリスクを抑えられるでしょう。

ただし、必要な遅延の短さは用途ごとに異なります。

質疑応答と遠隔支援では求められるリアルタイム性が異なるため、利用場面に合わせて配信方式を選びましょう。

超低遅延配信で重視されるリアルタイム性

超低遅延配信は、映像や音声の時間差をできるだけ短くし、会話や指示をリアルタイムに近い形で交わしたい用途に向いています。

Web会議でも広く利用されており、参加者同士で映像や音声をやり取りする用途と相性がよいです。

遠隔会議、現場支援、オンラインでの実技指導などでは、相手の動きを見た直後に返答や指示を出せることが重要になります。

たとえば、作業現場を遠隔地から支援する場合、映像の時間差が短ければ、作業員が現在行っている操作に合わせて声をかけやすくなります。

オンラインで実技を教える場合も、受講者の動きを見ながらその場で修正点を伝えやすくなるでしょう。

一方、超低遅延の通信では、映像を長く先読みして再生を安定させる余裕が少なくなるため、通信環境が不安定な場合には、画質の低下、映像の停止、音声の乱れなどが起こる可能性があります。

参加人数が増えると映像や音声の処理負荷も高まりやすくなります。

そのため、遅延の短さだけでなく、参加人数、回線品質、利用端末、必要な映像品質まで確認して配信方式を決めることが重要です。

遅延を抑える対策

付箋に電球のイラスト

動画配信の遅延には、解像度やビットレート、エンコード機器、通信回線、視聴環境など複数の条件が関係します。

一部の設定だけを変更するのではなく、配信から再生までの流れを確認し、原因に応じて対策を取りましょう。

ビットレートと解像度設定

動画配信では、解像度を高くすると細部を表現しやすくなり、ビットレートを高くすると映像へ割り当てられるデータ量が増加します。

ただし、数値を上げれば必ず視聴体験がよくなるわけではありません。

配信側の上り回線に対してビットレートが高すぎる場合、映像データを安定して送信できなくなる可能性があります。

視聴者側でも、通信速度に対して高いビットレートの映像を受信すると、再生に必要なデータが足りず映像が止まる場合があります。

解像度についても、視聴用途以上に高くするとデータ量やエンコード負荷が増える原因となるでしょう。

たとえば、登壇者の映像と大きな文字のスライドを見せるウェビナーであれば、撮影機材の上限まで解像度を上げる必要がないケースもあります。

一方、設計図、細かな表、ソフトウェアの操作画面などを見せる場合は、文字を読み取れる解像度を保つ必要があります。

実技配信では、手元の細かな動作を確認できる映像品質も必要でしょう。

そのため、単純に数値を下げるのではなく、伝えたい内容を確認できる品質を保ちながら、回線速度や端末性能に対して無理のない設定へ調整することが大切です。

複数画質を用意できる配信基盤であれば、高速回線の視聴者には高画質、通信速度が低い視聴者にはデータ量の少ない画質を使う方法もあります。

ビットレートとは?動画制作や配信で覚えておきたい基礎知識

有線回線を使用した事前検証

遅延を抑えるには、本番と近い条件で事前検証を行うことが重要です。

会場、機材、回線、配信方式、視聴端末をそろえ、配信側では通信が安定しやすい有線LANを使用します。

回線速度だけでなく、実際に何秒程度の時間差が生じているのかも測定しましょう。

配信側で時刻やストップウォッチを撮影し、視聴端末へ表示された値との差を見れば、おおよその遅延を確認できます。

あわせて、映像と音声のずれ、画質、音声の途切れ、再生状況も確認します。

質疑応答や遠隔支援を予定している場合は、本番と同じ流れでやり取りを行い、業務や進行に支障がない時間差かを確かめましょう。

想定以上の遅れがある場合は、ビットレートや解像度、エンコード設定の見直し、低遅延方式への変更、回線の増強などを検討します。

ただし、ネットワーク経由のライブ配信では時間差を完全になくすことは困難です。

質問への反応を待つ時間を設けるなど、配信設定と当日の進行の双方で対策しましょう。

目的に合った遅延対策ができる配信基盤

グラフを見ながら話し合う男女

動画配信で許容できる時間差は、利用目的によって変わります。

一方向の講演では安定した視聴を重視し、質疑応答や遠隔指導ではリアルタイム性を重視するなど、視聴者数、双方向性、通信環境、配信規模を踏まえて配信基盤を選びましょう。

リアルタイム性と安定性の優先順位

配信基盤を選ぶ際は、配信内容に応じてリアルタイム性と安定性のどちらを重視するのかを決めます。

講演会、社内説明会、式典など、一方向に映像を届けることが中心の配信では、多少の時間差より映像や音声の途切れにくさを優先するケースが多いでしょう。

また、大人数が同時に視聴するイベントでも、遅延の短さだけを追求した結果通信環境によって映像が頻繁に止まる状態では、視聴体験を損なってしまいます。

反対に、ウェビナーの質疑応答、オンライン授業、遠隔指導では、登壇者と視聴者が短い間隔でやり取りできることが重要です。

時間差が大きいと、会話が重なるほか、指示を出すタイミングもずれやすくなるためです。

ライブコマースでも、視聴者の質問に対して数十秒後に回答が届く状況では、商品説明と質問内容の関係が分かりにくくなる可能性があります。

配信の中で双方向のやり取りを行う時間が一部だけであれば、進行方法によって時間差をカバーできる場合もあります。

視聴人数、配信時間、通信環境、交流の頻度まで整理し、リアルタイム性と安定性の優先順位を決めましょう。

配信規模と視聴環境に適した配信基盤

配信基盤を考える際は、想定する同時視聴者数も確認する必要があります。

数十人程度の双方向配信と数千人以上が視聴する一方向配信では、配信システムに求める仕組みが異なります。

参加人数が増えるほど、すべての視聴者と双方向に映像を送受信する方式では通信や処理の負荷が増えるでしょう。

一方、多数への一方向配信を前提とした方式では、大規模配信に対応しやすいものの、双方向通信ほど短い時間差にはならないケースがあります。

さらに、視聴端末も確認しておきましょう。

社内パソコンだけで視聴するのか、社員のスマートフォンからも見るのかによって、対応ブラウザや必要な画質が変わります。

視聴者の通信環境が一定ではない場合は、高画質の映像だけを用意するのではなく、複数画質から再生できる仕組みがあると、安定した視聴につなげられます。

また、社内限定や会員限定の配信であれば、映像品質や遅延だけでなく、公開範囲や認証方法についても確認が必要です。

チャットや質疑応答を使う場合は、映像と交流機能の時間差についてもテストしておきましょう。

同時視聴者数、端末、通信環境、公開範囲、交流方法まで含めて確認することで、本番の利用条件に合う配信基盤を判断しやすくなります。

低遅延・双方向の動画配信には「ULIZA」がおすすめ

動画配信プラットフォーム「ULIZA」では、一般的なライブ配信に加え、超低遅延の「リアルタイムライブ」機能を利用できます。

リアルタイムライブは、1秒未満の超低遅延を目指した配信機能で、ウェビナーやオンライン授業、遠隔支援など、短い時間差で映像をやり取りしたい場面で利用できます。

ただし、実際に発生する遅延や映像品質は、配信者と視聴者の通信環境、利用端末、参加人数などによって変わります。

そのため、本番と近い条件でリハーサルを行うことが重要です。

配信者の人数が増えると映像・音声の処理負荷も高くなり、通信環境によっては遅延や品質低下につながる場合があります。

配信規模や参加者の役割を整理したうえで利用方法を決めましょう。

リアルタイムライブでは、参加者を登録したクローズドな配信にも対応しています。

また、オプションの「ULIZA Sidetalk」を組み合わせれば、配信画面にリアルタイムチャットを統合できます。

視聴者が絵文字を送信できるリアクション機能も利用できるため、映像を見るだけでなく、参加者の反応を受けながら進めるライブ配信にも使いやすいでしょう。

本番前には、限られた参加者だけでリハーサル配信を行う機能もあります。

配信目的に合わせて一般的なライブ配信とリアルタイム性の高い配信を使い分けたい企業では、「ULIZA」が選択肢の一つとなるでしょう。

その他おすすめの動画配信プラットフォームや選び方については、下記の記事で解説しています。

動画配信プラットフォームとは?特徴や選び方、おすすめサービスを徹底解説!

まとめ

動画配信の遅延は、エンコード、通信回線、配信サーバー、データの先読み、視聴環境など、複数の原因が重なって発生します。

遅延を抑えるには、ビットレートや解像度、回線、機材を確認し、本番と近い環境で時間差を測定し、設定を調整することが大切です。

許容できる時間差は配信目的によって異なり、一方向の講演より、質疑応答や遠隔支援のほうが高いリアルタイム性を求められます。

時間差を完全になくすことは難しいため、進行方法による対策もあわせて考えましょう。

一般的なライブ配信と超低遅延のリアルタイムライブを使い分けたい場合は、動画配信プラットフォーム「ULIZA」も検討できます。

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「 ULIZA 」は様々な事業の可能性を拡げるための配信プラットフォームです。
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この記事の監修者: 動画総合研究所 編集部

動画総合研究所は、動画配信技術の活用による企業のDX推進をお手伝いするためのメディアです。
動画の収益化・動画制作・ライブ配信・セキュリティ・著作権など、動画配信に関わるのさまざまなコンテンツを提供いたします。

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