2023.09.22
オンデマンド配信とは?メリットやライブ配信との違いを解説
近年、動画配信サービスでオンデマンド配信を視聴することは一般的になりました。その便利さや訴求力の高さから、マーケティングの一環としてオンデマンド配信を導入する企業も増えています。しかし、オンデマンド配信とは何か、そのメリット・デメリットなどを知らない人も多いかもしれません。
本記事では、オンデマンド配信の意味や、視聴者・配信者双方のメリット・デメリット、配信方法などについて解説します。最後まで読んで、企業のマーケティング戦略にオンデマンド配信を活用しましょう。
目次
オンデマンド配信とは、事前に制作した動画を視聴者がいつでも見られるよう配信すること
オンデマンド配信とは、あらかじめ制作した動画を、視聴者がいつでも好きなタイミングで視聴できるように配信することです。オンデマンド(on demand)とは、「要求に応じて」という意味を持つ言葉で、時間・場所を問わずに、視聴者が見たいときに動画にアクセスできるようにしている点が特徴です。
ライブ配信との違い
オンデマンド配信は、セミナーやイベントなどをリアルタイムで配信するライブ配信とは、視聴者とのコミュニケーションや視聴時間の自由度といった点で違いがあります。
ライブ配信では、チャットやアンケートなどで視聴者とコミュニケーションをとりながら進行ができるため、臨場感がある動画配信が可能ですが、「一発勝負の配信になるため配信者側も慣れていないと撮影・進行がうまくいかない可能性がある」「視聴できる日時が限定されているためスケジュールが合わない人は視聴できない」といった点がデメリットです。
一方、オンデマンド配信では、リアルタイムで視聴者とのコミュニケーションはとれませんが、事前に何度も撮影・編集でき、視聴者の都合に合わせて視聴してもらえるという点が特徴といえるでしょう。
なお、ライブ配信の映像を録画して、ライブ配信後にいつでも視聴できるように改めて配信することをアーカイブ配信といいますが、これもオンデマンド配信の一種です。
オンデマンド配信の活用例
オンデマンド配信は、近年、企業での活用例が増えています。動画は写真やテキストに比べて、多くの情報量をわかりやすく伝えることが可能です。また、いつでもどこでも繰り返し再生できるオンデマンド配信を活用すると、視聴者は開催場所へ出向かずに視聴できるため、多くの企業にオンデマンド配信の活用が広がっています。
企業によるオンデマンド配信は、下記のようなシーンで活用されています。
会社紹介
オンデマンド配信は会社紹介の場面で活用されます。採用活動や株主総会で、自社の事業内容・経営方針・従業員の雰囲気などを動画で伝えるケースなどが該当します。
文章や画像では、年収や福利厚生などのデータや制度は把握できますが、社風や社内の雰囲気、経営者の人柄などの情報を伝えにくいという課題がありました。動画であれば、経営者や従業員の声、社内の様子をリアルに伝えることができるので、入社後をイメージしやすく、採用ミスマッチの解消につながりやすいでしょう。
また、企業の広報活動の一環として、IR動画を配信する企業が増えています。株主総会に参加できない地域や海外の投資家にもアプローチできることが大きなメリットです。映像を用いることで、視覚的にわかりやすく、経営者のメッセージを力強く伝えることができます。
商品・サービスのプロモーション、コンテンツマーケティング
商品・サービスの使用感やメリットなどを動画で伝えたり、営業活動や展示会で使用する営業資料を動画化したりすることも、オンデマンド配信の活用のひとつです。
BtoCでは、商品・サービスのプロモーション動画をWebサイトやSNSなどを通じて配信することで、視聴者の感情を動かし購買意欲を高められるでしょう。
また、BtoBは、視覚的に伝えることで理解が深まる商材の場合、動画を活用した営業活動が効果的です。例えば、複雑な操作が必要なシステムやツール、導入実績や事例があると検討しやすいコンサルや研修などの無形商材などです。
また、動画をオンラインで配信することは、商品・サービスの認知度を高めるだけでなくブランドイメージの向上にも効果を発揮するでしょう。
カスタマーサクセス
オンデマンド配信をカスタマーサクセスに活用する企業もあります。カスタマーサクセスとは、商品・サービスを購入した顧客に能動的にコミュニケーションを図り、「顧客の成功体験」を実現させる役割を指します。
例えば「商品・サービスの使い方を動画マニュアルにする」「顧客から寄せられる質問に回答する」など、カスタマーサクセスの活動を動画にすれば、顧客理解を深め商品やサービスの価値を効果的に伝えることが可能です。顧客の成功体験を増やせれば、商品やサービスの継続率が高まり、「アップセル」「クロスセル」といった取引額の向上を実現できるでしょう。
社内研修・オンライン講座
研修・スキルアップ用講座の動画を制作し、従業員向けに配信することもオンデマンド配信の活用のひとつです。会場での集合研修と異なり、オンデマンド配信だと一時停止や巻き戻し、再生速度の調整を自由にできるため、理解度に合わせて視聴することができます。
また、運営側も、研修のたびに会場や講師の手配をする必要がないといったメリットがあります。一度動画を作成してしまえば、一定の品質の教育研修を何度も実施できるので、コスト削減が可能です。職種や等級などに合わせて研修をコンテンツ化することで、従業員は好きな時間にスキルアップができ、組織のボトムアップを図ることができるでしょう。
配信者側のオンデマンド配信のメリット
オンデマンド配信は、配信者側にも視聴者側にもメリットがあります。配信者側のメリットとしては、下記の3点が代表的です。
<配信者側のオンデマンド配信のメリット>
- 高品質なコンテンツを配信できる
- 配信期間に制限がないため多くの視聴者が見込める
- 何度でも活用できる資産になる
高品質なコンテンツを配信できる
オンデマンド配信では、事前に決められた構成のとおりに動画を制作し、編集でも工夫ができるため、高品質なコンテンツを配信できることがメリットです。
何らかのトラブルがあっても撮り直しができ、さらに視聴者がわかりやすくなるようにテロップを入れたり、図やイラストを盛り込んだりするような編集もできます。納得がいくまで編集できるため、高品質な動画の配信が可能です。
配信期間に制限がないため多くの視聴者が見込める
視聴者が都合に合わせて視聴できるため、視聴者数を伸ばしやすい点もオンデマンド配信のメリットです。ライブ配信は配信日時が決まっているため、仕事やプライベートの予定と重なって参加できないことがあります。
一方、オンデマンド配信であればいつでも視聴できることから、視聴者数を伸ばしやすい傾向があります。また、YouTubeなどの動画配信サービスでおすすめコンテンツのひとつとして表示されたり、SNSで拡散されたりすることで、新たな顧客層にリーチできる可能性もあるでしょう。
何度でも活用できる資産になる
オンデマンド配信は、一度動画を制作して配信すれば、その配信内容をさまざまなシーンに流用できることから、企業の資産として活用できます。
例えば、営業先で視聴してもらうために制作・配信した商品・サービスや事例紹介の動画を、展示会で流すことも可能です。動画のURLをメールに記載して見込み顧客に送り、自社商品・サービスの魅力を知ってもらうこともできます。
また、社員研修のライブ配信を録画してアーカイブ配信すると、同じ研修を再度実施する必要がなくなります。つまり、講師や機材の準備が1回のみになり、コストも削減できるのです。動画を繰り返し利用できることで、手間や業務負担を削減でき、かつ均一的に情報伝達ができるようになるでしょう。
視聴者側のオンデマンド配信のメリット
オンデマンド配信は視聴時の自由度が高いため、視聴者にとってもメリットを感じるシーンが少なくありません。主に下記の3点が、視聴者側のオンデマンド配信の代表的なメリットとして挙げられます。
<視聴者側のオンデマンド配信のメリット>
- 自分の好きなタイミングで視聴できる
- 何度でも視聴できる
- 倍速再生・スキップ視聴・一時停止ができる
自分の好きなタイミングで視聴できる
ネットワーク環境があればいつでもどこでも動画を視聴できる点は、オンデマンド配信で視聴者がメリットを感じやすいポイントです。場所や日時にとらわれないことから、移動中の電車やカフェにいるときなど隙間時間にも視聴でき、時間を有効活用できます。研修やイベントなどのオンデマンド配信では現地に行く必要がなくなるため、交通費や時間を節約できるでしょう。
何度でも視聴できる
オンデマンド配信は、何度も繰り返し視聴できます。リアルタイムのウェビナーやイベントでは、聞き逃してしまったり、理解が追いつかないまま終了してしまったりするケースもあります。
一方、オンデマンド配信では、わからない部分を何度も確認できるので、個人の習熟度に合わせた活用が可能です。
倍速再生・スキップ視聴・一時停止ができる
オンデマンド配信では、倍速再生やスキップ再生、一時停止といった機能を活用して、自分のペースに合わせて視聴することができます。ライブ配信はリアルタイムで進行するため、すでに知っている部分があっても、その部分が終わるまで待たなければなりません。
一方、オンデマンド配信では、スキップ再生や倍速再生ができるため、より短い時間で効率的に視聴できます。また、メモをとりたいときに、一時停止することも可能です。ただし、動画配信サービスによっては、倍速再生などの機能がない場合もあります。
配信者側のオンデマンド配信のデメリット
配信者側・視聴者側双方にとって多くのメリットがあるオンデマンド配信ですが、デメリットもまた、配信者側・視聴者側のそれぞれにあります。配信者側のデメリットとしては、一般的には下記の2点が挙げられます。
<配信者側のオンデマンド配信のデメリット>
- 視聴者とのコミュニケーションが難しい
- 配信前の編集に時間がかかることがある
- 研修に活用する場合は視聴したかどうかの確認が必要になる
視聴者とのコミュニケーションが難しい
オンデマンド配信では、ライブ配信のような形でリアルタイムに視聴者とコミュニケーションをとることができません。ライブ配信であれば、視聴者からの質問にその場で回答できたり、アンケートやクイズ、ディスカッションによって視聴者の集中力・モチベーションを保ったりすることも可能です。
しかし、オンデマンド配信では、視聴者が動画を視聴しているタイミングでコミュニケーションをとれるような仕組みを導入するのは簡単ではありません。別途、電話やメール、動画配信サービスのコメント欄などでコミュニケーションをとることはできますが、即時応答は難しいため、オンデマンド配信をきっかけにしたコミュニケーションはライブ配信よりも少なくなる傾向があります。
配信前の編集に時間がかかることがある
ライブ配信では、アーカイブ配信をしないのであれば撮影後の業務は参加者へのフォローなどだけですが、オンデマンド配信では撮影後に編集作業が必要です。高品質な動画コンテンツにするためには、不要な部分をカットしたり、重要箇所にテロップを入れたり、図を入れたりするなどして、視聴者がわかりやすくなるような工夫は欠かせません。
収録時間が長くなった場合には、その分カットなどの編集に時間もかかります。オンデマンド配信をする場合は、一定の手間がかかることを覚悟しましょう。
研修に活用する場合は視聴したかどうかの確認が必要になる
研修にオンデマンド配信を利用する場合は、対象者全員が最後まで視聴したかを確認する必要があります。いつでもどこでも視聴できるということは、いつ視聴したかがわかりにくくなるということです。場合によっては、視聴を期限近くまで後回しにしたり、視聴を忘れたりする人が出てくるかもしれません。
個々の視聴履歴を確認できる動画配信サービスもあるため、その機能を利用して視聴していない人に個別に連絡し、視聴を促す必要があります。
また、視聴のモチベーションを高めるために、後日動画の内容に関するテストを実施するのもおすすめです。
視聴者側のオンデマンド配信のデメリット
いつでもどこでも動画にアクセスできるというオンデマンド配信の特性から、視聴者側にとっても避けられないデメリットがあります。視聴者側のデメリットは下記が代表的です。
<視聴者側のオンデマンド配信のデメリット>
- 配信者側とのリアルタイムコミュニケーションがとりづらい
- 視聴が後回しになりがち
配信者側とのリアルタイムコミュニケーションがとりづらい
視聴者側としても、オンデマンド配信では一方的に動画を視聴することになります。ライブ配信のように、配信の時間内で講師などとコミュニケーションとれる機会はありません。動画にコメントを付けられる機能(Youtubeなど)もありますが、リアルタイムのやりとりではないというデメリットがあります。
視聴が後回しになりがち
オンデマンド配信は、視聴者の都合のよいタイミングで視聴できるというメリットがある反面、いつでも見られることで視聴が後回しになりがちです。
視聴者側に緊急度や必要性があれば視聴が進むこともありますが、一般的なオンデマンド配信では、配信者側でリマインドを送ったり期限を設けたりするなどの工夫をすることが大切です。
オンデマンド配信を行うにはどうしたらいい?
オンデマンド配信は、動画配信サービスを利用する方法以外にも、自社サーバーを利用して配信することも可能です。それぞれ、下記のような特徴があります。
動画配信サービスを利用する
オンデマンド配信をするには、動画をアップロードするだけで手軽に配信できる、動画配信サービスを活用するのが一般的です。
代表的な無料の動画配信サービスとしては、YouTubeがあります。手軽に利用できることから動画を公開したい人と視聴したい人が集まっているため、企業の規模や業種に関係なく利用しやすいでしょう。
しかし、YouTubeなどの無料の動画配信サービスを利用すると、原則として全世界に公開されることになります。限定公開機能もありますが、視聴URLの流出リスクもないわけではありません。そのため、企業や法人で動画配信を行う場合は、「ULIZA(ウリザ)」などの有料のサービスを利用する企業も増えています。
動画配信サービスでは、動画の配信は下記の手順で行うのが一般的です。
<動画配信サービスでの一般的な動画配信手順>
- 動画を制作する
- 動画配信サービスにアップロードする
- 動画プレイヤータグをWebページに埋め込む、もしくは視聴ページを発行する
簡単に利用できる一方、動画配信サービスでは利用規約や運営ポリシーが定められており、違反すると動画が削除されることもあります。場合によっては、動画配信サービス自体の利用が停止されることもあるため、事前に利用規約や運営ポリシーをよく確認して利用することが大切です。
また、無料の動画配信サービスの場合には、動画の再生中に広告が差し込まれることがある点にも注意が必要です。
動画配信サービスについてはこちらもご覧ください。
動画配信サービスとは?導入のメリットや選定のポイント
自社サーバーで配信する
自社サーバーを用意してオンデマンド配信を行う方法もあります。自社で運営するため、広告表示がなく、一方的なペナルティを受けない点がメリットです。
自社サーバーは、Webサーバーのほかに、動画配信専用のストリーミングサーバーを利用するのが一般的です。これらのサーバーを構築・運用するには、社内に専門知識を持ったエンジニアが必要になります。社内に適切な人材がいない場合には、構築だけでなく運用・保守も外部に依頼しなければなりません。いずれにしても多くのコストがかかるため、事前にリサーチをするのがおすすめです。
動画配信サービスでの動画配信の方法
動画配信サービスを活用した動画配信の方法を解説します。一般的に、動画配信は以下の3つのステップで進めます。
<動画配信の方法>
1. 動画を制作する
2. 動画配信サービスにアップロードする
3. 動画プレイヤータグをWebページに埋め込む、もしくは視聴ページを発行する
1. 動画を制作する
最初に、動画の目的を明確にした上で、動画を制作します。動画制作の途中で目的や方向性がぶれたり、撮影後に上層部との認識の齟齬が発生したりするケースも少なくありません。こうした事態を防ぐためにも、管理職や責任者には「誰に向けて」「何のために」「何を伝えるのか」の合意形成をしておくことが大切です。
目的や方向性が決まったら、動画の構成を考えて予算に合わせて演者や撮影場所、撮影機材などをリストアップし、撮影を始めます。肖像権や著作権を侵害していないかどうか考慮して、映像や画像、楽曲などの素材を準備しましょう。
素材がすべてそろったら編集作業に入ります。視聴者が理解しやすく飽きさせないよう、不要な箇所をトリミングしたりテロップを入れたりといった工夫が必要です。自社で動画の編集技術やノウハウがない場合は、動画制作会社に依頼することもできます。
動画制作における著作権についてはこちらもご覧ください。
動画制作・配信を行う際に知っておくべき著作権について解説
2. 動画配信サービスにアップロードする
動画が完成したら、動画配信サービスにアップロードします。誰でも無料で利用できる動画配信サービスは、目的が合致すれば便利なサービスですが、個人使用も多く、企業向けの機能が充実しているわけではありません。また、機密情報を含む企業の動画配信には、セキュリティ面での注意が必要です。
機密情報を含んだ動画を配信する場合は、企業向けに対応した有料の動画配信サービスの利用が適しています。セキュリティを含む機能やUI、料金などを比較検討し、自社に合ったサービスを選びましょう。
3. 動画プレイヤータグをWebページに埋め込む、もしくは視聴ページを発行する
動画配信サービスに動画をアップロードしたら、リンクURLを取得できるので、視聴対象者に周知し、動画を届けましょう。Webサイトに動画を埋め込む場合は、サイト幅に合わせて埋め込み用のHTMLコードを取得し設置します。
なお、通常のアップロード方法でURLを取得したりWebサイトに埋め込んだりすると、誰でも視聴できる状態になってしまいます。社外秘情報などの機密情報を含んだ動画を限定配信する場合は、個別にセキュリティ設定を行うことに注意が必要です。
オンデマンド配信のメリット・デメリットを押さえて、プロモーションなどに活用しよう
オンデマンド配信は、視聴者にとって時間や場所の制約がなく、好きなときに視聴できることがメリットです。配信者はオンデマンド配信を営業ツールやSNSでのプロモーションなど、幅広い用途で活用できるでしょう。しかし、視聴者とのコミュニケーションが難しい点や、編集にコストがかかる点には注意しなければなりません。
手軽にオンデマンド配信をしたい場合には、簡単にアップロードし、公開できるクラウド型の動画配信サービスの利用がおすすめです。中でも日本国内で開発された「ULIZA」は、10年間の利用実績があり、安心して利用できます。
ライブ配信もオンデマンド配信もできるため、オンライン講座やイベント配信、企業の採用・研修・マーケティング用の動画配信など、多くのシーンで活用可能です。気になる場合は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
この記事の監修者: 動画総合研究所 編集部
動画総合研究所は、動画配信技術の活用による企業のDX推進をお手伝いするためのメディアです。
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